シンポジウム

令和5年度秋季シンポジウムの報告

 令和5年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウム

テーマ:
大学の資源を活用した持続可能な地域のスポーツ環境の構築に向けて

 令和5年12月10日(日)、兵庫体育・スポーツ科学学会秋期シンポジウムが武庫川女子大学中央キャンパス公江記念館で開催されました。パネリストに武庫川女子大学健康・スポーツ学部学部長でスポーツクラブ武庫女代表の渡邊完児氏、甲南大学全学共通教育センター教授でKONANスポーツクラブ指導者の桂豊氏、芦屋大学臨床教育学部准教授でサッカー部監督の金相煥氏、兵庫スポーツ協会地域スポーツ振興課地域スポーツクラブ推進員の與那覇秀勲氏の4名を迎え、大学のヒトやモノなどの経営資源を活用して多世代参加やアスリート育成などに取り組む各スポーツクラブの状況、そして持続可能な地域スポーツ環境の実現に向けてそれぞれの立場からご発表いただきました。パネリストの方々からは、クラブ員の減少や指導者人材の確保等、様々な課題への対応に追われながらも、大学としてクラブに対する地域の多様なニーズに応えるために実践してきた過去から現在までの取組、そして今後の展望などをご紹介いただきました。ディスカッションでは、ファシリテーターに芦屋大学の青木敦英氏を交え、パネリストの先生方への質問を中心にフロアの皆さんとともに議論を深めました。今後、大学発のスポーツクラブが地域にスポーツ環境を提供し、住民の日常的なスポーツ機会を実現する場となっていくために、大学の資源をいかに効果的に活用していくべきか、活発な情報交換が行なわれました。予定時間を越えて熱い議論が交わされるなど、今後の地域スポーツ環境のあり方と大学に期待される役割について強い関心と期待が寄せられている様子を伺うことができました。

(神戸大学大学院 乾 順紀)
 

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令和5年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウムのご案内

 令和5年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウム

テーマ:
大学の資源を活用した持続可能な地域のスポーツ環境の構築に向けて

 兵庫県では、地域に根差したスポーツ環境として、総合型地域スポーツクラブが小学校単位に設立され、地域スポーツ推進の中心的な役割を果たしてきた。しかしながら、近年はクラブ員の減少や指導者の高齢化等の課題も見られ、県教委が掲げた「10年プラン」を踏まえ、クラブのNPO法人化による持続的な運営の促進と休会の選択肢に揺れ動いていることが推測される。また、今年度より中学校の休日運動部活動の地域移行が段階的に始まり、学校スポーツも大きく変わろうとしている。社会課題や多様なニーズを携え、これまで子どもたちのスポーツ実施を支援してきた学校部活動と地域のスポーツ環境は、今まさに転換期にあると言えるであろう。
 本シンポジウムでは、大学の「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源を活用し、地域の子どもから高齢者までの多世代参加や、小中高大の一貫指導ならびにアスリート育成、大学生のスポーツクラブ参画など、様々な対象者と参加ニーズに応じたスポーツクラブの取り組みに注目する。今後、大学発のスポーツクラブが地域に根差したスポーツ環境の提供ならびに住民の日常的なスポーツ実施の受け入れ先となっていくために、すべての人たちにとって望ましいスポーツの機会保障や地域での持続可能性等、様々な観点から語り合う。学会として、教育機関と地域が連携・協働する取り組みにどのような支援ができるかを多角的に探り、兵庫県内の地域におけるスポーツ振興の可能性について考える。
 

日時・会場:2023年12月10日(日) 14:00~16:00(受付 13:30~)
武庫川女子大学 中央キャンパス 公江記念館地下1階大講義室
参加費:無料
参加方法:当日会場にて受付 

案内チラシはコチラからダウンロードいただけます。

◎パネルディスカッション 14:00~16:00
<パネリスト>
渡邊 完児 氏(武庫川女子大学健康・スポーツ科学部学部長、スポーツクラブ武庫女代表)
桂 豊 氏(甲南大学全学共通教育センター教授、スポーツ・健康科学教育研究センター兼任研究員、KONANスポーツクラブサッカー&フットサル指導者)
金 相煥 氏(芦屋大学臨床教育学部准教授、サッカー部監督)
與那覇 秀勲 氏(公益財団法人兵庫県スポーツ協会地域スポーツ振興課地域スポーツクラブ推進員)

<ファシリテーター>
青木 敦英 氏(芦屋大学臨床教育学部教授)
<司会> 
谷 めぐみ(摂南大学現代社会学部講師)

参加費:無料
主催:兵庫体育・スポーツ科学学会

令和4年度秋季シンポジウムの報告

 令和4年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウム

テーマ
「兵庫県の運動部活動の地域移行に向けて~中学校運動部活動と地域スポーツクラブとの連携~」

 令和4年12月11日(日)、兵庫体育・スポーツ科学学会秋期シンポジウムを神戸学院大学ポートアイランド第1キャンパスで開催しました。基調講演では、岐阜県羽島市役所市民協働部スポーツ推進課の中尾聡氏を招聘し、全国的にも先進的な取組事例として知られる、はしまなごみスポーツクラブと羽島市立竹鼻中学校の実践についてお話しいただきました。続いてのシンポジウムでは、兵庫県教育委員会・市町自治体・総合型地域スポーツクラブのそれぞれの立場から部活動の地域移行への期待や取組状況、今後の展望などを紹介いただきました。ディスカッションでは、羽島市役所の中尾氏を交え、事前にいただいた質問に応えながらフロアの皆さんとともに議論を深めました。予定時間を越えても多くの方が挙手され、熱い議論が交わされた様子をみて、本テーマへの強い関心と期待が寄せられていることを改めて実感しました。
 当日の講演内容及びシンポジウムの概要については、以下よりご確認ください。
【令和4年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウム 概要】

(兵庫県立大学大学院 與那覇 秀勲)

 

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2022年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウムのご案内

 令和4年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウム

テーマ:
兵庫県の運動部活動の地域移行に向けて~中学校運動部活動と地域スポーツクラブとの連携~

 学校を中心とした運動部活動は、教師の勤務を要しない日や終業時間超過を含め献身的な指導によって支えられてきたが、長時間勤務の要因であることや、特に競技や指導経験がない教師、指導を望まない教師には大きな負担となっている。こうした状況を踏まえ、スポーツ庁は令和2年9月「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革」の指針として、学校と地域が協働・融合した部活動の具体的な実現方策とスケジュールを明示した。令和5年度より中学校の休日運動部活動の段階的な地域移行を進めていくとし、今後は運動部活動の指導や大会引率を教師に頼らない体制整備が求められる。
 兵庫県では、2000年より「スポーツクラブ21ひょうご」事業をスタートさせ、小学校区ごとに827の総合型地域スポーツクラブが設立され、地域スポーツ推進の中心的な役割を果たしてきた。近年はクラブ員の減少や指導者の高齢化等の課題も見られ、設立から20年を超えるクラブにとっては変革期を迎えている。
 本シンポジウムでは、兵庫県内における休日の中学校運動部活動の段階的な地域移行に向け、教育機関や地域の受け入れ先の動向に注目する。子どもたちにとって望ましいスポーツの機会保障や持続可能な地域での試み等、様々な観点から語り合う。学会として、学校運動部活動と地域が連携・協働する取り組みにどのような支援ができるかを多角的に探り、兵庫県における地域スポーツ振興の可能性について考える。


日時・会場:2022年12月11日(日)14:00~16:00 (受付 13:30~)
神戸学院大学ポートアイランド第1キャンパス B号館3階 301講義室
参加費:無料
参加方法:Webからの事前申し込みにて受付(先着200名)
下記URLよりお申込みいただけます。
https://forms.gle/RebAvXf4niAjhGW9A
申し込み締め切り:2022年11月30日(水)

案内チラシはコチラからダウンロードいただけます。


◎基調講演 14:10~14:40
総合型地域スポーツクラブへの休日運動部活動の地域移行
~はしまなごみスポーツクラブ×羽島市立竹鼻中学校の実践を通して~

中尾 聡 氏(岐阜県羽島市役所市民協働部スポーツ推進課)

◎パネルディスカッション 14:40~16:00
<パネリスト>
兵庫県教育委員会の立場から:土井 一弥 氏(兵庫県教育委員会事務局スポーツ振興課副課長)
市町自治体の立場から:村崎 和幸 氏(明石市教育委員会事務局学校教育課部活動改革コーディネータ)
地域スポーツクラブの立場から:福田 幸夫 氏(NPO法人加古川総合スポーツクラブ理事長)
<ファシリテーター>
森田 啓之 氏(兵庫教育大学大学院学校教育研究科教授、兵庫体育・スポーツ科学学会理事・ひょうご地域スポーツ振興プロジェクト委員長)
<コーディネーター・司会>
谷 めぐみ(摂南大学講師、兵庫体育・スポーツ科学学会理事・研究企画委員会委員長)

参加費:無料
主催:兵庫体育・スポーツ科学学会
後援:兵庫県教育委員会、公益財団法人兵庫県スポーツ協会

注:会場へは公共交通機関をご利用ください。シンポジウム当日はマスクの着用、消毒等の新コロナウイルス感染予防へのご協力をお願いいたします。また、今後の新型コロナウイルス感染状況によってはシンポジウムの開催方法が変更される場合があります。その場合はご入力いただいたメールアドレスならびに学会ホームページにてお知らせいたします。

令和3年度秋季シンポジウムの報告

 12月12日(日)に神戸学院大学ポートアイランドキャンパスにおいて、「ワールドマスターズゲームズ2021関西の開催による兵庫県の生涯スポーツ振興に向けて」と題し、秋季シンポジウムが開催されました。
 本シンポジウムは、兵庫県内におけるワールドマスターズゲームズ2021関西(WMG2021関西)の開催動向に注目し、主催・競技団体、選手やボランティアとして過去から現在への関わりに踏まえ、実践的・学問的な観点から生涯スポーツ、マスターズスポーツの現状や将来について、兵庫県実行委員会の立場から榊丈直氏(兵庫県教育委員会事務局WMG2021推進課課長)、競技団体の立場から尾上俊雄氏(兵庫県オリエンテーリング協会会長)、選手の立場から谷所慶氏(関西大学人間健康学部准教授)、ボランティアの立場から彦次佳 氏(和歌山大学教育学部准教授)の4名をパネリストに迎え、情報提供と質疑応答によるディスカッションが繰り広げられました。
 初めに登壇された榊氏からは、兵庫県におけるスポーツ振興の経緯からスポーツ環境の整備・拡充、地域スポーツクラブの機能強化、部活動改革など今後の方向性が説明されました。そして、WMGにおける実行員会の取り組みについて、大会開催決定までの経緯や大会自体の概要や特徴、兵庫県内における開催競技種目や組織委員会や開催府県政令市実行委員会の推進体制の紹介が行われた上で、県内における広報・PR活動、リハーサル大会の報告がなされました。さらに、取り組みの一例として「スポーツ休暇」の創設や「Do Sports 休暇」の推進やボイランティア休暇の適用拡大と兵庫県職員への対応について紹介いただきました。
 次に登壇された尾上氏からは、オリエンテーリングの競技自体についての紹介や世界マスターズオリエンテーリング選手権(WMOC)とWMGの関係性からWMG2021関西のオリエンテーリング競技をWMOC2021として日本での開催を決定した経緯について報告が行われました。そして、WMG2021関西に向けての活動や延期に伴う2022大会への参加者獲得のために国内外において、オリエンテーリング競技自体のプロモーションやWMG関西大会の広報・キャンペーン活動の取り組みについて紹介いただきました。
 3人目の登壇者である谷所氏からは、自身が選手として参加したWMG2017オークランド大会での硬式野球種目を中心に競技の運営・会場の様子や実際に行なわれたルールや試合スケジュール等の紹介が行われました。加えて、研究者の視点よりマスターズスポーツイベント参加者の練習量について着目し、オーストラリアマスターズゲームズ2019での参加者を対象に実施した調査から報告が行われました。調査より、参加者の平均として1日当たりの練習量は1.5時間であることや、競技歴は30年と20代前半から継続して実施している者が半数を占めることなど、マスターズスポーツ参加者の普段の競技への取り組みについて紹介いただきました。
 4人目の登壇者である彦次氏からは、自身がボランティアとして参加したWMG2005エドモントン大会での経験を元に、競技者としては参加できない若年層がボランティアで参加することによって享受できる数多くの可能性について紹介いただきました。さらに、WMG2021関西大会への期待として生涯スポーツ・熟年スポーツ文化に若い年代の人たちが触れる機会を様々な形で提供することにより、生涯を通してスポーツを楽しむ文化や環境の形成のための素地の一因となると述べられました。  
 最後に、マスターズスポーツによる兵庫県のスポーツ振興・推進のための課題や将来への展望について、それぞれのパネリストの立場からの回答を得ながら活発な意見交換が実施されました。そして、コーディネーターを務められた谷めぐみ氏(湊川短期大学幼児教育保育学科准教授)より、延期開催が予定されているWMG関西大会に向けた、新たな生涯スポーツやマスターズスポーツの可能性の拡がりについて言及され締めくくりとなりました。
 今後とも、今回のようなシンポジウムなどの機会を通じて、兵庫県内における今後のマスターズスポーツの普及や次世代に向けての生涯スポーツ振興の推進に寄与していくことができれば幸いと考える次第です。

(関西大学 松村雄樹)

 

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2021年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウムのご案内

 2021年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウム

テーマ:
ワールドマスターズゲームズ2021関西の開催による兵庫県の生涯スポーツ振興に向けて

 おおむね30歳以上のスポーツ愛好者の誰もが参加者となれる世界最大級の生涯スポーツの総合競技大会「ワールドマスターズゲームズ2021関西」。新型コロナウイルスによりスポーツ活動やイベント開催が自粛された昨今、制限された環境下であっても大会参加や日々のトレーニングに励む様子がマスメディアやSNSでも取り上げられている。世界各国から選手を迎え入れる大会運営側においては、大会の理念・趣旨を完全な形で実現するために開催方法や運営体制について様々に協議を重ね、選手を迎え入れる準備をしていたが、やむなく再延期が決断され、新たな開催時期について現在、国際マスターズゲームズ協会(IMGA)と協議が進められている。
 本シンポジウムでは、兵庫県内におけるワールドマスターズゲームズ2021関西の開催動向に注目し、選手やボランティアとして過去大会への関わり踏まえ、実践的・学問的な観点から語り合う。学会として「する」「みる」「ささえる」スポーツを通じ、生涯にわたりスポーツに関わり続ける魅力と楽しさを多角的に探り、兵庫県内における生涯スポーツ振興の可能性について考える。


日時・会場:2021年12月12日(日)14:00~16:00(受付 13:30~)
神戸学院大学ポートアイランド第1キャンパス B号館3階 301講義室
参加費:無料
参加方法:Webからの事前申し込みにて受付(先着200名)
「コチラ」をクリックして、お申込みいただけます。→ コチラ
申し込み締め切り:2021年11月30日(木)

案内チラシもダウンロードいただけます。

 
◎シンポジウム 14:00~16:00
<パネリスト>
兵庫県実行委員会の立場から:
榊 丈直 氏(兵庫県教育委員会事務局WMG2021推進課課長)

競技団体の立場から:
尾上俊雄 氏(兵庫県オリエンテーリング協会会長)

WMG2017オークランド大会出場選手の立場から:
谷所 慶 氏(関西大学人間健康学部准教授)

WMG2005エドモントン大会ボランティアの立場から:
彦次 佳 氏(和歌山大学教育学部准教授)

<コーディネーター>
谷 めぐみ(湊川短期大学幼児教育保育学科准教授)
柳 久恒(神戸学院大学経営学部准教授)

主催:兵庫体育・スポーツ科学学会
共催:ワールドマスターズゲームズ2021関西 兵庫県実行委員会


注:会場へは公共交通機関をご利用ください。シンポジウム当日はマスクの着用、消毒等の新型コロナウイルス感染症予防へのご協力をお願いいたします。また、今後の新型コロナウイルスの感染状況によってはシンポジウムの開催方法が変更となります。その場合は学会ホームページならびに事前申し込みいただいたメールアドレスへお知らせいたします。

令和2年度秋季シンポジウム 報告

 

  1025日(日)に兵庫県立大学神戸商科キャンパスにて、「ニューノーマル時代における新たな運動・スポーツ実践に向けて」と題して、秋季シンポジウムが開催されました。

 

本シンポジウムは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が運動・スポーツ活動の自粛や実践方法の見直しを図ることにまで及んだ昨今を顧み、新しい生活様式の中における運動・スポーツ実践の現状と方向性について、学校スポーツ関係者の立場から賀屋光晴先生(兵庫医療大学)、地域スポーツの関係者の立場から井原一久氏(NPO法人アスロン理事長)、民間スポーツ関係者の立場から佐藤博志氏(ゴールドジム神戸元町)の3名をパネリストに迎え、情報提供と質疑応答による活発な議論が繰り広げられました。

初めに登壇された賀屋先生からは、緊急事態宣言下でのオンラインによる実技の授業は毎回の動画配信によるミニ講義と小テストに加え、各自の体力や能力に応じて適切な運動強度の活動を見つけ、1日あたり10~13分程度の身体活動を1週間で合計90分実施することを課題として取り組んだことを話されました。学生のレポートの内容からは、自身の健康や身体への意識が前向きに変化したことが成果としてみられたとの報告がなされました。また、後期に入ってからは対面授業になったものの、受講人数を半分にした上で実技クラスとweb講義を交互に併用しながら実施していること、部活動は徐々に試合や競技会も再開しているものの、組合いを必要とする柔道等の種目によっては大会の開催に向けて慎重に議論が重ねられていることが説明されました。

次に登壇された井原氏からは、外出自粛を要請された4月以降は、地域の子どもたちのスポーツ実施の場として主に活動してきたジュニアスポーツクラブが休業に追い込まれたこと、一方で、朝食の提供や学習サポートを担ってきた子ども食堂の事業や、発達支援の必要な子どもたちにスポーツによる療育を提供してきた放課後等デイサービス事業は継続する必要があったことの現状を説明されました。休業期間中は、運動不足や不活発になる会員がいることを懸念し、オンラインビデオ会議システムのZoomを用いたレッスンの開講や検温・運動機器の消毒の徹底、職員の勤務形態の制度や顧客管理システムの導入等の業務内容の見直しなどを行い、事業の再開に向けて体制の変革を図ったことを話されました。業務を再開してからは屋外種目の会員の参加とキャンプ事業へのニーズはあるが、屋内で実施する体操については休会や退会が見られることも報告されました。

3人目の登壇者である佐藤氏は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で休業を余儀なくされた数多くの民間スポーツ施設の現状について、所属先のフィットネスジムを事例に説明されました。先述の井原氏の地域スポーツクラブ同様、新年度は新規会員の入会が見込まれる時期であるが、自粛要請により会員数の増加が認められなかったこと、業務再開後も既会員の利用の戻りに鈍さがあるが、(一社)日本フィットネス産業協会(FIA)のガイドラインに沿って感染予防や拡散防止の上でサービスの提供をしていることを話されました。今後はニューノーマル時代に向けて、安全・安心な環境を提供することに加え、健康的な生活習慣の獲得と高齢者のフレイルやサルコペニアの予防にも焦点を当て、新規会員の開拓と方向性の転換の必要性を強調されていました。

最後に、3名のパネリストの発表に対して会場からは、活動自粛によって大学の授業やスポーツクラブの運営にプラスに転じたことは何かといった問いや、ニューノーマルは今後ノーマルになっていくのか、また、これまで運動やスポーツ実践をしていなかった人たちが新たな実施者層になっている可能性があるのでは等の質問が投げかけられ、各パネリストの回答を得ながら会場との活発な意見交換が行われました。そして、コーディネーターを務められた伊藤克広先生(兵庫県立大学教授)より、ニューノーマル時代における新たな運動・スポーツ実践に向けて言及され締め括りとなりました。

今回のシンポジウムは、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑みながらの開催となったため参加者は多くありませんでしたが、昨今の新型コロナウイルスが我々の活動に及ぼした影響と向き合い、今後いかに運動・スポーツ実践の推進に取り組んでいくべきかを考える機会となりました。国内外に及ぼした強烈なインパクトから生み出された様々な試みが実を結び、各々の運動・スポーツライフを豊かにしていくためのステップとなることを願って止みません。そして、運動やスポーツを行うことは決して特別なことではなく、新たな実施者となった人たちにとっても、日々の暮らしの中で「ノーマルなこと」になるといいなと感じました。

 

(湊川短期大学  谷めぐみ )

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2020年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウムのご案内

2020年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウム

 

テーマ:

「ニューノーマル時代における新たな運動・

スポーツ実践に向けて」

 

 新コロナウイルスの感染拡大という社会状況の中で、スポーツはこれまでの実践方法の見直しを迫られた。学校スポーツではオンライン,オンデマンドでの授業実施、各種競技大会が中止されることによる進学や就職への影響、地域スポーツではプログラムや教室の見直しや開催自粛、民間スポーツでは営業自粛など、各方面において非常に多くの影響が出た。その一方で、緊急事態宣言の自粛期間中にトレーニングやスポーツ実践の動画配信などが多数行われ、「スポーツの多様化」も見られた。これらはニューノーマル時代における新たな運動・スポーツ実践としてとらえられるであろう。

 本シンポジウムでは,「ニューノーマル(新しい生活様式)」に基づいて今後運動・スポーツは新コロナウイルスとどのように関わりながら実践して行く必要があるのか、その方向性についてディスカッションする。ニューノーマル時代における運動・スポーツ実践の方向性に関する知と情報の集積と蓄積を目指す。

 

日時・会場:

 

 

 20201025(日) 14:0016:00(受付13:30〜)

 兵庫県立大学 神戸商科キャンパス 教育棟Ⅱ 105教室

 参加方法・参加費:当日会場にて受付 無料

 

シンポジウム 14:1016:00

 

パネリスト:

学校スポーツ関係者の立場から:

賀屋 光晴(兵庫医療大学)

 

地域スポーツ関係者の立場から:

井原  一久NPO法人アスロン理事長)

 

民間スポーツ関係者の立場から:

佐藤 博志(ゴールドジム神戸元町)

 

コーディネーター:

谷 めぐみ(湊川短期大学),

伊藤 克広(兵庫県立大学)


 

会場アクセス:

 

角丸四角形吹き出し: 会場:教育棟Ⅱ 1階 105教室角丸四角形: 正門角丸四角形: 至 学園都市駅(神戸市営地下鉄西神・山手線)

 

 

主催:兵庫体育・スポーツ科学学会

 

 

注:会場へは公共交通機関をご利用ください。シンポジウム当日はマスクの着用、消毒等の新コロナウイルス感染予防へのご協力をお願いいたします。また、今後の新コロナウイルス感染状況によってはシンポジウム開催が延期および中止される場合があります。その場合は学会ホームページ(https://www.hspess.jp/)にてお知らせいたします。