シンポジウム

令和4年度秋季シンポジウムの報告

 令和4年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウム

テーマ
「兵庫県の運動部活動の地域移行に向けて~中学校運動部活動と地域スポーツクラブとの連携~」

 令和4年12月11日(日)、兵庫体育・スポーツ科学学会秋期シンポジウムを神戸学院大学ポートアイランド第1キャンパスで開催しました。基調講演では、岐阜県羽島市役所市民協働部スポーツ推進課の中尾聡氏を招聘し、全国的にも先進的な取組事例として知られる、はしまなごみスポーツクラブと羽島市立竹鼻中学校の実践についてお話しいただきました。続いてのシンポジウムでは、兵庫県教育委員会・市町自治体・総合型地域スポーツクラブのそれぞれの立場から部活動の地域移行への期待や取組状況、今後の展望などを紹介いただきました。ディスカッションでは、羽島市役所の中尾氏を交え、事前にいただいた質問に応えながらフロアの皆さんとともに議論を深めました。予定時間を越えても多くの方が挙手され、熱い議論が交わされた様子をみて、本テーマへの強い関心と期待が寄せられていることを改めて実感しました。
 当日の講演内容及びシンポジウムの概要については、以下よりご確認ください。
【令和4年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウム 概要】

(兵庫県立大学大学院 與那覇 秀勲)

 

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2022年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウムのご案内

 令和4年度 兵庫体育・スポーツ科学学会秋季シンポジウム

テーマ:
兵庫県の運動部活動の地域移行に向けて~中学校運動部活動と地域スポーツクラブとの連携~

 学校を中心とした運動部活動は、教師の勤務を要しない日や終業時間超過を含め献身的な指導によって支えられてきたが、長時間勤務の要因であることや、特に競技や指導経験がない教師、指導を望まない教師には大きな負担となっている。こうした状況を踏まえ、スポーツ庁は令和2年9月「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革」の指針として、学校と地域が協働・融合した部活動の具体的な実現方策とスケジュールを明示した。令和5年度より中学校の休日運動部活動の段階的な地域移行を進めていくとし、今後は運動部活動の指導や大会引率を教師に頼らない体制整備が求められる。
 兵庫県では、2000年より「スポーツクラブ21ひょうご」事業をスタートさせ、小学校区ごとに827の総合型地域スポーツクラブが設立され、地域スポーツ推進の中心的な役割を果たしてきた。近年はクラブ員の減少や指導者の高齢化等の課題も見られ、設立から20年を超えるクラブにとっては変革期を迎えている。
 本シンポジウムでは、兵庫県内における休日の中学校運動部活動の段階的な地域移行に向け、教育機関や地域の受け入れ先の動向に注目する。子どもたちにとって望ましいスポーツの機会保障や持続可能な地域での試み等、様々な観点から語り合う。学会として、学校運動部活動と地域が連携・協働する取り組みにどのような支援ができるかを多角的に探り、兵庫県における地域スポーツ振興の可能性について考える。


日時・会場:2022年12月11日(日)14:00~16:00 (受付 13:30~)
神戸学院大学ポートアイランド第1キャンパス B号館3階 301講義室
参加費:無料
参加方法:Webからの事前申し込みにて受付(先着200名)
下記URLよりお申込みいただけます。
https://forms.gle/RebAvXf4niAjhGW9A
申し込み締め切り:2022年11月30日(水)

案内チラシはコチラからダウンロードいただけます。


◎基調講演 14:10~14:40
総合型地域スポーツクラブへの休日運動部活動の地域移行
~はしまなごみスポーツクラブ×羽島市立竹鼻中学校の実践を通して~

中尾 聡 氏(岐阜県羽島市役所市民協働部スポーツ推進課)

◎パネルディスカッション 14:40~16:00
<パネリスト>
兵庫県教育委員会の立場から:土井 一弥 氏(兵庫県教育委員会事務局スポーツ振興課副課長)
市町自治体の立場から:村崎 和幸 氏(明石市教育委員会事務局学校教育課部活動改革コーディネータ)
地域スポーツクラブの立場から:福田 幸夫 氏(NPO法人加古川総合スポーツクラブ理事長)
<ファシリテーター>
森田 啓之 氏(兵庫教育大学大学院学校教育研究科教授、兵庫体育・スポーツ科学学会理事・ひょうご地域スポーツ振興プロジェクト委員長)
<コーディネーター・司会>
谷 めぐみ(摂南大学講師、兵庫体育・スポーツ科学学会理事・研究企画委員会委員長)

参加費:無料
主催:兵庫体育・スポーツ科学学会
後援:兵庫県教育委員会、公益財団法人兵庫県スポーツ協会

注:会場へは公共交通機関をご利用ください。シンポジウム当日はマスクの着用、消毒等の新コロナウイルス感染予防へのご協力をお願いいたします。また、今後の新型コロナウイルス感染状況によってはシンポジウムの開催方法が変更される場合があります。その場合はご入力いただいたメールアドレスならびに学会ホームページにてお知らせいたします。

令和3年度秋季シンポジウムの報告

 12月12日(日)に神戸学院大学ポートアイランドキャンパスにおいて、「ワールドマスターズゲームズ2021関西の開催による兵庫県の生涯スポーツ振興に向けて」と題し、秋季シンポジウムが開催されました。
 本シンポジウムは、兵庫県内におけるワールドマスターズゲームズ2021関西(WMG2021関西)の開催動向に注目し、主催・競技団体、選手やボランティアとして過去から現在への関わりに踏まえ、実践的・学問的な観点から生涯スポーツ、マスターズスポーツの現状や将来について、兵庫県実行委員会の立場から榊丈直氏(兵庫県教育委員会事務局WMG2021推進課課長)、競技団体の立場から尾上俊雄氏(兵庫県オリエンテーリング協会会長)、選手の立場から谷所慶氏(関西大学人間健康学部准教授)、ボランティアの立場から彦次佳 氏(和歌山大学教育学部准教授)の4名をパネリストに迎え、情報提供と質疑応答によるディスカッションが繰り広げられました。
 初めに登壇された榊氏からは、兵庫県におけるスポーツ振興の経緯からスポーツ環境の整備・拡充、地域スポーツクラブの機能強化、部活動改革など今後の方向性が説明されました。そして、WMGにおける実行員会の取り組みについて、大会開催決定までの経緯や大会自体の概要や特徴、兵庫県内における開催競技種目や組織委員会や開催府県政令市実行委員会の推進体制の紹介が行われた上で、県内における広報・PR活動、リハーサル大会の報告がなされました。さらに、取り組みの一例として「スポーツ休暇」の創設や「Do Sports 休暇」の推進やボイランティア休暇の適用拡大と兵庫県職員への対応について紹介いただきました。
 次に登壇された尾上氏からは、オリエンテーリングの競技自体についての紹介や世界マスターズオリエンテーリング選手権(WMOC)とWMGの関係性からWMG2021関西のオリエンテーリング競技をWMOC2021として日本での開催を決定した経緯について報告が行われました。そして、WMG2021関西に向けての活動や延期に伴う2022大会への参加者獲得のために国内外において、オリエンテーリング競技自体のプロモーションやWMG関西大会の広報・キャンペーン活動の取り組みについて紹介いただきました。
 3人目の登壇者である谷所氏からは、自身が選手として参加したWMG2017オークランド大会での硬式野球種目を中心に競技の運営・会場の様子や実際に行なわれたルールや試合スケジュール等の紹介が行われました。加えて、研究者の視点よりマスターズスポーツイベント参加者の練習量について着目し、オーストラリアマスターズゲームズ2019での参加者を対象に実施した調査から報告が行われました。調査より、参加者の平均として1日当たりの練習量は1.5時間であることや、競技歴は30年と20代前半から継続して実施している者が半数を占めることなど、マスターズスポーツ参加者の普段の競技への取り組みについて紹介いただきました。
 4人目の登壇者である彦次氏からは、自身がボランティアとして参加したWMG2005エドモントン大会での経験を元に、競技者としては参加できない若年層がボランティアで参加することによって享受できる数多くの可能性について紹介いただきました。さらに、WMG2021関西大会への期待として生涯スポーツ・熟年スポーツ文化に若い年代の人たちが触れる機会を様々な形で提供することにより、生涯を通してスポーツを楽しむ文化や環境の形成のための素地の一因となると述べられました。  
 最後に、マスターズスポーツによる兵庫県のスポーツ振興・推進のための課題や将来への展望について、それぞれのパネリストの立場からの回答を得ながら活発な意見交換が実施されました。そして、コーディネーターを務められた谷めぐみ氏(湊川短期大学幼児教育保育学科准教授)より、延期開催が予定されているWMG関西大会に向けた、新たな生涯スポーツやマスターズスポーツの可能性の拡がりについて言及され締めくくりとなりました。
 今後とも、今回のようなシンポジウムなどの機会を通じて、兵庫県内における今後のマスターズスポーツの普及や次世代に向けての生涯スポーツ振興の推進に寄与していくことができれば幸いと考える次第です。

(関西大学 松村雄樹)

 

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