11月21日のセミナー報告。詳細をご覧下さい。

平成21年度兵庫体育・スポーツ科学学会セミナー開催される
テーマ『スポーツ科学とその活用方法をさぐる』
 
 11月21日、兵庫県民会館県民ホールにおいて標記セミナーを開催しました。例年、秋のシンポジウムを開催しておりますが、今年は財団法人兵庫県体育協会、兵庫県スポーツ指導者協議会との共催で、兵庫県教育委員会の後援をいただき学会員以外のスポーツ指導者の方々も交えてのセミナーを催しました。

  これは広く県民に開かれた学会をめざすべく、今後、本県のスポーツ振興を他組織と共同で展開していくあしがかりにしたいと考え、学会員による話題提起と昨 年度から立ち上げたプロジェクト「ジュニアのタレント発掘」と「地域スポーツ振興プログラム」2つのプロジェクト報告が行われ、約40名の学会員の他、様 々なスポーツ指導者350名が参加し、会場は熱気に包まれました。参加者の皆さんは、二つの話題提供、学会のプロジェクト報告について、熱心に耳を傾けて いただき、参加者の方から積極的な質問が行われるなど、大変有意義なセミナーとなりました。

当日のプログラムは以下のとおりです。   
■講演 
演題 体力の二極化現象の視点からジュニア期のスポーツを考える
講師 神戸大学大学院 教授 平 川 和 文 氏
演題 スポーツ栄養学の視点からアスリートのための食事を考える
講師 神戸女子大学 准教授 坂 元 美 子 氏
■協賛社大塚製薬株式会社からの情報提供       
■プロジェクト報告「ジュニア育成の取り組みと地域スポーツの普及振興報告」
 (1)ひょうごスポーツタレント発掘プロジェクト
  兵庫県立大学経済学部 教授 鵤木秀夫氏
(2)ひょうご地域スポーツ振興プロジェクト
  播磨町教育委員会生涯学習グループ 主任 西尾和典氏
■まとめと今後の展開について
  神戸大学大学院教授,兵庫体育・スポーツ科学学会会長 
  山口 泰雄 教授
 
平川先生

「子どもの体力について、1980年 代後半から徐々に体力が低下している状況を体格・体型の変化などの関係から考察した結果が報告されました。また、現在の全国と兵庫県との比較、体格と体 力、食生活・睡眠・運動時間などの生活習慣と体力、様々な要因と体力の関係について解説され、中学校期の運動がきわめて重要というご指摘がありました。現 在、今後の子どもの体力向上を目指して、15分エクササイズを学校現場で実施するために、DVDを作成中で、完成間近という報告があり、来年度に向けて期待が高まりました。」

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坂元先生

「ま ず最初に、栄養を考える上で大切なのは、理想的なエネルギー比(PFC比:15:25:60、Pタンパク質:F脂質:C炭水化物)に基づいて、バランスの とれた食事を取ることであり、スポーツ選手にとってもきわめて重要であることが解説されました。続いて、プロ野球のキャンプ現場での1軍、2軍の宿泊施設 の違いにより、摂取エネルギー、栄養のバランスなどに違いが出ることや、それを補うための宿泊施設の努力など、実際に現場で栄養指導をされた様子が報告さ れました。また、女子サッカー選手のヘモグロビン濃度の変化に関する研究の中で、練習後の食事環境を向上させることで貧血を改善できることなど、実際の詳 細な事例研究が報告され、とれも興味深い内容でした。」

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 鵤木先生

「本 学会と兵庫県教育委員会、兵庫県体育協会の共催で本年度からスタートした「ひょうごジュニアスポーツアカデミー」について報告されました。近年、他府県で も実施されているスポーツタレント発掘事業と比較して、学会が直接関与していること、大学生のボランティアや企業・民間のサポートを受けて実施されている ことなど兵庫県独自の取り組みが紹介されました。事業の性格上、長期的に取り組むことが不可欠であり、今後の課題として予算確保や競技団体、総合型地域ス ポーツクラブとの連携強化が挙げられました。」

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 西尾先生

「ひょ うご地域スポーツ振興プロジェクトについて概要が説明されました。3年計画でスタートし、初年度となる昨年は、学会でテキストを作成し、基礎講習を播磨町 で実施し、その様子が紹介されました。本年度はテーマ講習として、子どもと中高年を対象に「ファミリースポーツのスポーツ振興に資する指導者養成」講習会 が12月13日に開催されることが案内されました。また、昨年度実施したスポーツ指導者に対する調査結果から、指導者に求められている内容、指導者自身が 感じている内容などについて報告が行われました。現場で活躍されている参加者の方からは、有資格者には謝金はもちろん、時間帯によっては食事への配慮もで きるような会費で運営し、指導者も責任を持って指導するという体制をつくってほしいという意見がありました。」
 

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山口先生

「こ れまでの地域スポーツ環境(ヒューマン,ソフト,ハード)が「縦割り・連携不足」であったことを指摘され、それを受けて本セミナーは理論と実践のギャップ をつなぐことを意図して開催されたという経緯説明が行われました。その後、学会の2つのプロジェクトである「ジュニア育成の取り組み」と「地域スポーツの 普及振興」の報告に関して、現状や今後の展開に関する討論が行われました。山口先生からは、今回のセミナーのまとめとして、今後はヒューマン,ソフト, ハードの連携がより重要であり、中でもヒューマンの1つであるスポーツ指導者は,スポーツ選手,スポーツ愛好者をサポートすることが,自身の目標,夢,ひ いては生きがいになることを強調されました。さらに、これからの指導者には「ノウハウ」以上に「ノウフー(誰(専門家)を知っているか)」が大切であり、 スポーツ指導者はスポーツ振興およびスポーツ価値拡大のための貴重な資源であるということを確認して本セミナーを終了しました。」

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