お知らせ

兵庫体育・スポーツ科学学会の各委員会からのお知らせを掲載しています。

平成25年度シンポジウム、ワークショップの報告

 平成25119日(土)甲南大学甲友会館にて、兵庫体育・スポーツ科学学会シンポジウム(主催:兵庫体育・スポーツ科学学会、今年度甲南大学スポーツ・健康科学教育研究センターが設立10周年のため、共催:甲南大学)が、「スポーツが持つ力と可能性」というテーマで開催されました。

 第1部:シンポジウムでは、「スポーツクラブの視点から 加藤寛先生(神戸親和女子大学教授)」、「スポーツ団体の視点から 石角正徳先生(公益財団法人兵庫県体育協会競技力向上課長)」、「ジャーナリズムの視点から 山中英夫氏(神戸新聞社元運動部長)」、「大学の視点から 鵤木千加子先生(甲南大学スポーツ・健康科学教育研究センター教授)」、4人のパネリストにそれぞれ事例の紹介を基に、スポーツの意義や役割、現在の課題や今後の可能性について情報提供と提案をいただきました。コーディネーターは、勝木洋子先生(神戸親和女子大学教授)、私・桂豊(甲南大学スポーツ・健康科学教育研究センター教授)がつとめました。

 

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 岡田会長ご挨拶

 

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杉村芳美甲南大学学長ご挨拶

 

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シンポジウムの様子 於 甲南大学甲友会館

 

 岡田会長のご挨拶の後、杉村芳美甲南大学学長がご挨拶。杉村学長はシンポジウムも最後まで熱心に聞いてくださいました。

 加藤寛先生からは、神戸フットボールクラブ、ヴィッセル神戸での約40年間の貴重な体験をはじめ、「クラブユース連盟」の立ち上げ、「大人のサッカー教室」の活動等についても紹介していただきました。スポーツクラブの社団法人、財団法人、NPO法人など様々な運営組織について、何れの組織でもスポーツの価値を認識した「志」が重要であるということを強調されました。またこれからの地域スポーツクラブは、「スポーツの価値やクラブの公共性を理解した指導者の確保」、「部活イメージから脱却できない日本の地域スポーツ(自主的な運営をしない、選手強化のみ)」、「定期的な活動場所(施設)の確保(行政の理解不足)」、「資金の確保」などが課題であるとまとめていただきました。

 

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加藤 寛先生

 

 続いて石角 正徳先生からは、兵庫県体育協会競技力向上課の日頃の活動、「新兵庫県競技力向上事業(はばたけ兵庫推進プラン)」の国体選手強化事業、選手育成、選手サポートについて紹介していただきました。次に第68回国民体育大会「スポーツ祭東京2013」の結果について、目標は達成できなかったものの兵庫県にとっては有意義な結果であったことが報告されました。また、ゴールデンエイジ・プロジェクトとして実施している「兵庫ジュニアスポーツアカデミー」について詳しく紹介していただきました。今回のシンポジウムで石角先生には、国体選手強化と選手育成の両面からのサポートについて紹介していただき、最後は「はばたけ兵庫!!」の力強いスライドを見せていただきました。

 

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石角正徳先生

 

 山中英夫さんからは、兵庫県のメダリストとその系譜について、大変興味深いお話を披露していただきました。ロンドン・オリンピックでは、兵庫県ゆかりの選手22名が参加しており、これは日本選手団293名の7.5%を占め、兵庫はトップアスリートが多いスポーツの盛んな県であるという、兵庫県教育委員会と神戸新聞社の貴重な調査結果を紹介していただきました。兵庫県という土地柄や先輩から後輩へのつながり、世代交代のバトンパスということの大切さが調査の結果、浮かび上がったということでした。そういう土壌のある兵庫県のジュニアアスリートが7年後2020年東京オリンピックへ向け、どう育っていくかが楽しみという言葉で締めくくられました。

 

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山中英夫氏

 

 最後に鵤木千加子先生からは、イギリスのパブリックスクールにおいて「人格を形成する上で有効な教育手段」としてスポーツが認められ、奨励されるようになり、こうしたアスレティシズムにより教育に取り入れられるようになった経緯を紹介していただきました。この考えが日本にも伝わり、旧制中学・高等学校の課外活動にも影響を及ぼしていったこと、そして戦後、大学体育に必修科目として「体育」がおかれますが、1992年大綱化により必修とするか否かは各大学の教育理念に基づいた裁量とされた流れを説明していただきました。甲南大学では、教育理念に基づき、開学以来必修科目として体育をおいており、甲南大学における体育科目についても説明がありました。また大学における課外活動としてのスポーツについても事例をあげていただきました。そしてスポーツ活動を通した学び・成長、今のスポーツ界の現状について話され、社会の変化とスポーツの存在の社会性の高さを認識することが重要であるとまとめていただきました。

 

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鵤木千加子先生

 

 休憩後、パネリストの先生方に登壇していただき、パネル・ディスカッションを行いました。

 

 スポーツクラブについての質問には、加藤先生には中・高体連の部活は中高における活動団体であり、スポーツクラブは地域に根差し、子供からお年寄りまで活動できるものであること、法人化する意義を理解したうえで法人化すべきであること、民主主義・自治の精神が重要であることを挙げていただきました。スポーツクラブ21に関連してスポーツクラブの可能性についての質問には、石角先生より兵庫県は都市部と山間部などの地理的な問題点を抱えていることが挙げられ、加藤先生からは町内全体がスポーツクラブとして活動している播磨クラブや加古川クラブの事例が紹介されました。山中さんには、昨今のスポーツ界での女性の躍進の理由について質問があり、女子だけのマラソン大会が日本初開催されるなど元々兵庫県や神戸には女性スポーツのパイオニア的な部分があること、鵤木先生からはスポーツも含め女性の社会進出について、今後性別は関係なくなっていくのではないかとコメントをいただきました。競技力の向上とパスウエイについては、石角先生より中・高体連での取り組みについて紹介され、加藤先生からは、中・高体連での育成も重要だが、スポーツクラブにおける一貫指導の重要性、学校とスポーツクラブで別のクラブに所属し、複数のスポーツを楽しむという方法もあるという提案を含めたコメントがなされました。この後、コーディネーターが最後をまとめ、シンポジウムは終了しました。

 

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パネル・ディスカッション

 

 シンポジウム終了後、講堂兼体育館に移動し、第2部:ワークショップ「甲南大学スポーツ・健康科学教育研究センタースタッフによるスポーツ教育のデモンストレーション」を開催し、たくさんの方に参加していただきました。

 

 内容は、甲南大学スポーツ・健康科学教育研究センター、水澤克子准教授、曽我部晋哉准教授による「フィットネス&レクレーショナルスポーツ」、吉本忠弘講師による「器械運動」のスポーツ教育デモンストレーションが行われました。

 

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ワークショップ風景.jpg CIMG0639.JPGワークショップ風景

 

(担当理事)

 

事務局移転のお知らせ

平成25年7月1日より、本学会事務局が兵庫県立大学から神戸大学に移転しました。                新事務局の連絡先は下記の通りです。

657-8501 神戸市灘区鶴甲3-11

神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 前田正登研究室内

TEL&FAX078-803-7817

平成25年度兵庫体育・スポーツ科学学会総会,及び第24回学会大会報告

 平成25年6月1日(土) 神戸女学院大学ジュリア・ダッドレー記念館にて、兵庫体育・スポーツ科学学会総会及び第24回学会大会が開催されました。

基調講演
 演題:「スポーツと人権 -オリンピック・ムーブメントの歴史と現状から考える」
 講師:來田享子先生
 中京大学スポーツ科学部教授 スポーツ教育学科学科長、日本スポーツとジェンダー学会理事長、NPO法人日本オリンピック・アカデミー理事

 オリンピックの歴史や近年のスポーツを取り巻く国際的動向の視点から講演をいただきました。オリンピックにおける差別との戦い、人種・宗教・性、などをオリンピック・ムーブメントとして論理的に展開してくださいました。特に、同質の条件を背景とした競技性および記録の追及に伴う、性別確認検査の実施、近年多様化傾向にある「オリンピックの価値」の中で扱われる女性が参加する競技種目の拡大、さらに渦中にある開催競技種目入れ替えの背景についての概説は大変興味をもって拝聴しました。これらを踏まえて、社会の変革や科学・歴史から価値観を模索したこと、オリンピック憲章の見直しから、国連ミレニアム目標値、YOG教育文化プログラム、IOC 教育文化会議などの概説をされました。結果、近年のIOCが促進するスポーツを通じた教育:オリンピックの価値(Olympic Values)が真の意味でのスポーツを通した教育の推進をしなければならない意味を説かれました。
 暴力肯定を廃絶するための重点課題として、目前の「勝利」以外の価値を目指すためのスポーツ指導の重要性やデュアル教育、コーチ教育などから、「勝利しか求めていない指導者には子どもを育てる資格がない」、スポーツの使命は「すばらしい人間教育」と話された言葉に感銘を受けました。
 スポーツ界における「人権」、体育・スポーツの指導における「暴力」の発生を理解し、より望ましいスポーツ文化の構築に寄与したいとの想いを深めることができました。

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 口頭発表は18件、体育・スポーツ分野における実践的取り組みの報告や、学部生も発表できるポスターセッションの部では4件の発表がありました。76名の参加者で、基調講演、一般発表の2会場とも議論が進んでいました。

 すばらしい学舎で学会開催させていただいたことに感謝いたしますとともに、学会会員各位のご協力にお礼申し上げます。

学会担当理事